この手、あの手。


「つっかれた~!」

「お疲れ、悠木君」

小松さんは聖治にタオルを渡した。


体育祭は終わり、今は保健室に来ている。


「体育祭見てたよ。みんな頑張ってたね。良いなぁ、私もみんなと一緒に出たかった」

小松さんの悲しそうな顔を見て胸が苦しくなった。

みんなと同じことが出来ないって辛いよね……。


私は知らないうちに小松さんに抱きついていた。


「私、小松さんの為に頑張ったんだもん、小松さんの為に走ったんだもん。小松さんは私の心の中で、ちゃんと一緒に体育祭出てた」

「都村さん……、有難う」

小松さんの目は涙目になっていた。


「2人共、いつの間にそんなに仲良くなったんだよ。今まで実乃梨は俺だけだったのに」

聖治はブスッとしながら言った。


「俺がいるけど」

「中学までの話だよ!」


私達はクスクスッと笑った。


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