この手、あの手。


「なに?」

階段を降りてる途中で小松さんに話しかけられた。


「あのね」

そう言って、小松さんは私の耳元に口を近づけてきた。





「私、都村さんのこと大嫌いなんだよね」


えっ……?


私の横にいた小松さんは、今度は私の前に立ってきた。

笑ってない、真顔だ。


「武ちゃん返してよ、武ちゃんは私のなの。武ちゃんと付き合うなんて絶対許さない」

「な……に言って…の…」

なに、どういうこと?

足がすくんで動けない。


「だから、私本当は都村さんのこと嫌いだし友達なんて思ってないの」

「う…そ……」

「嘘じゃないから。嫌いっつってんじゃん。嫌い、大嫌い。武ちゃんを取る奴は許さないんだから」

やだ、小松さん怖い。

本当に?


「都村さん死んでよ。武ちゃんの前から消えて、別れて。別れてくれないなら、私が2人の仲を壊してあげる」


< 216 / 316 >

この作品をシェア

pagetop