この手、あの手。
「なに?」
階段を降りてる途中で小松さんに話しかけられた。
「あのね」
そう言って、小松さんは私の耳元に口を近づけてきた。
「私、都村さんのこと大嫌いなんだよね」
えっ……?
私の横にいた小松さんは、今度は私の前に立ってきた。
笑ってない、真顔だ。
「武ちゃん返してよ、武ちゃんは私のなの。武ちゃんと付き合うなんて絶対許さない」
「な……に言って…の…」
なに、どういうこと?
足がすくんで動けない。
「だから、私本当は都村さんのこと嫌いだし友達なんて思ってないの」
「う…そ……」
「嘘じゃないから。嫌いっつってんじゃん。嫌い、大嫌い。武ちゃんを取る奴は許さないんだから」
やだ、小松さん怖い。
本当に?
「都村さん死んでよ。武ちゃんの前から消えて、別れて。別れてくれないなら、私が2人の仲を壊してあげる」