この手、あの手。
待って、助けて聖治、武志!
先に行かないで!
「ばいばい、大嫌いな都村さん」
小松さんはそう言って、自分で階段から落ちようとした。
ダメ!
私は小松さんを信じたい、信じてる。
そんな思いで小松さんを助けようと、両手を伸ばした。
「きゃあ!!」
小松さんの悲鳴で、前を歩いていた聖治と武志は振り向いた。
それと同時に小松さんは踊り場に落ちた。
助けられなかった。
「麗南!」
「小松さん!」
2人は小松さんの元へ駆け寄った。
「武……ちゃん」
「麗南、大丈夫か!?」
「私、都村さんに大嫌いって言われた……」
え……!?
違う!
「武ちゃんと離れて……、死んでって突き落とされた………の」
小松さんは涙を流しながら目を閉じた。
「麗南!!」
小松さんを呼ぶ武志の声がひたすら聞こえた。