この手、あの手。
「小松さんがそう言っていたんだね?」
「はい。確かに実乃梨に突き落とされたって言ってました」
私と武志と聖治は今、職員室に来ている。
小松さんが救急車で運ばれた後、私達3人は生徒指導部の先生に呼ばれたのだ。
職員室に行くと生徒指導部長と担任の先生、それから校長先生がいた。
「都村さん、君は本当に小松さんを突き落としたのかい?」
「………」
違う……、違うのに小松さんがあんなこと言うから、信じてもらえないかもしれない。
私は膝の上に置いていた手をギュッと握りしめた。
「違います……、落としてません……」
かすかな声で言った。
その瞬間先生はみんな溜め息をついた。
私と小松さんが言っていることが矛盾しているからだろう。