この手、あの手。


「そんな弱々しい声で言われても、全然説得力ねぇんだけど」

隣に座っている武志から声がした。

なに、私を疑ってるの?


「俺、つーちゃん信じたいよ。やってないって信じたい。けど、俺は麗南の方を信じてる」

私の胸がキュウッと苦しくなった。

彼女は幼馴染みに勝てないの?


「実乃梨はそんなことしない! 絶対しない!」

武志に対し聖治は私の味方をしてくれた。

でもそんなのは一瞬だった。


「お前つーちゃんが手伸ばしてるの見ただろ? なのにあれで突き落としてないって言えるか?」

「っ……!!」

聖治は何も言わなくなった。


違うよ、あれは突き落としたんじゃなくて、助けようとしたんだよ!


心の中で叫んだけど誰にも聞こえない。

当たり前だ。


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