この手、あの手。


「違うよ……私は小松さんを突き落としてな」

「信じられねぇんだよ!!」

私は武志に胸ぐらを掴まれた。


怖い……。


「白状しろよ! 麗南にむかついたんだろ!? 最近俺が麗南のことばっか考えてたから、だから突き落としたんだろ!?」

武志の嘘つき。

海で言ってくれたじゃん、私を信じるって。

嘘つき……。


私の目から涙が大量に流れてきた。


「女ってすぐ涙でなんでも済まそうとするよな」

武志……。


「見損なったよ。お前なんて大っ嫌いだ」

私の頭にクギが刺さったような、激しい頭痛がし出した。


「鶴賀君、手を離しなさい」

校長先生に言われ、ようやく私は武志から解放された。


「もう一度聞く。都村さん、君は小松さんを突き落としたのかい?」

みんなの鋭い視線が私に集中した。


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