この手、あの手。
私は決意し、涙を拭いた。
「私がやりました、突き落としました」
誰も私を信じてくれないならもういい。
「武志と全然話せなくなって小松さんにむかついた。だから死んでほしくて突き落としました!」
私が喋り終えたと同時にパシッという音が鳴った。
じわりと右頬が痛くなった。
「最低だな。もうお前とは別れるよ、絶交だ」
武志は私の頬を叩いて職員室から出ていった。
「都村さん、君は1週間自宅謹慎処分だ。もう午後の授業はいい、帰りなさい」
「……はい」
私は聖治と一緒に職員室を出た。
「うっ……」
職員室を出ると、我慢していた涙が再び溢れ出した。
「実乃梨」
「話しかけないで!」
肩に触れた聖治の手を払いのけた。