この手、あの手。


「私は小松さんを突き落とした最低な女なんだよ? よくそんな奴と話せるよね」

微笑みながら話す私はどうかしている。


「私がやってないって言った時、信じてくれなかったくせに友達ぶらないでよ」

「俺は」

「聖治なんて嫌いよ! 近づかないで!」

「……ごめん」

聖治はトボトボと教室に戻っていった。


ごめんってなによ。

私を信じてないってこと?


酷いよみんな。

なんで小松さんを信じるの。

なんで?

私、もうみんなを信じれない。

私はこれから1人だ。

誰も味方になってくれない。

武志も……、もう私の彼氏じゃない。


自分から嘘の発言をしたのに、それを酷く後悔した。

突き落としたって言わなきゃ良かった。

あぁでも、言わなくても誰も私を信じてくれてないから意味ないか。


私はその場で、ただただ泣くしかなかった。


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