この手、あの手。


教室に戻ると6時間目の最中だった。


「あ、都村さんだ」

「小松さん突き落としたんでしょ? 最低だよね」

「友達裏切るとかひっどー」

「都村さんが落ちれば良かったのに」

みんな口々に言っていた。

一言聞く度に私の胸は傷んだ。


「ほら、授業に集中する」

先生のお陰でなんとかみんな静かになった。

それでも陰でヒソヒソと話す者はいたけど。


私は鞄の中に教科書やノートを詰め、教室を出ようとした。


「きゃっ!?」

私は勢いよく床に倒れた。

誰かが足を引っかけてきた。


「いった……」

足首がジリジリと痛む。


「バーカ」

そう聞こえた。

周りの人はそれを見てクスクス笑う。


私は我慢出来なくて足の痛みを我慢し、走って教室を出た。


いつもだったら、こんな時は武志が助けてくれてたのに……。

辛くて苦しくて、私は泣きながら家に帰った。


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