この手、あの手。



その夜――。


パシンッ!と激しい音が、私の家に響いた。


「バカ! なんで謝らなかったのよ!」

「お前が悪いんだ、悪い方が謝るのが普通だろ」

パシンッ!


もう一発音がした。


痛い……。

私は何も悪い事してないのに、なんで私が叩かれなきゃいけないの。


「はぁっ、こんな子に育てたつもりなんてないのに」

お母さんは大きく溜め息をついた。


その一言が凄く心に来て、私は少し過呼吸を起こし始めた。


「一度親戚に預けるか?」

「そうね……、私達の評判まで悪くなっちゃ困るし。いっそのこと、転校でもさせようかしら」


なに勝手に話進めてんの……、自分の子供が苦しんでるのに。


自分第一っていうの?


私は両親を睨んだ。



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