この手、あの手。


「はい、出来た」

「有難うございます」

膝を怪我した私は、武志のお母さんに手当てしてもらった。


「……こんな事聞かれるの嫌かもしれないけど、学校で何かあったの?」

「っ………、ちょっと……」

「麗南ちゃんが入院してる事に関係ある?」

「………」

お母さんは何か知ってるのかな……?


「無理して言わなくて良いわ」

武志のお母さんはにこっと微笑んで、調理場へ行った。

朝食を作ってるのだろう。


「実乃梨ちゃん朝ご飯は食べた?」

「いえ……」

「じゃあ一緒に食べましょ」

「……はい……」

武志もいるよね……。


会いたくない。

でも会いたい。


そう思った時、リビングの戸が開いた。



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