この手、あの手。


「あははー! つーちゃん超ウザあい!」

直ぐ後ろで、田畑さんの笑う声が聞こえた。

ココノハの窓に田畑さん達の姿が映り、私はそれを目で追った。


「都村さんと遊ぶなんて嫌だったから良かったあ」

「都村さん空気読めないもんね。秋帆が鶴賀君好きって知ってるのに、鶴賀君と話してさあ」

「つーちゃんってあだ名もウケるでしょ? ダサいあだ名考えてあげたの。1週間仲良いフリするの疲れたよ」

「これからは無視しようね」

雨の音で所々聞こえなかったが、私の悪口を言っているのは分かった。


私だって仲良いフリするの疲れたっつーの。


「なに……もう……帰ろ」

私は自宅へと向きを変え、ゆっくり歩き出した。

足が重い。


「あ! ねえあれ、つーちゃんじゃない!?」

「わ、まじ!?」

田畑さんの声は大きく、私の耳にまで届いた。


「あたし達をストーカーしてたの? きっも!」

はあ?

田畑さんがメールしてきたから来たんじゃん。

最低。


< 25 / 316 >

この作品をシェア

pagetop