この手、あの手。
「あははー! つーちゃん超ウザあい!」
直ぐ後ろで、田畑さんの笑う声が聞こえた。
ココノハの窓に田畑さん達の姿が映り、私はそれを目で追った。
「都村さんと遊ぶなんて嫌だったから良かったあ」
「都村さん空気読めないもんね。秋帆が鶴賀君好きって知ってるのに、鶴賀君と話してさあ」
「つーちゃんってあだ名もウケるでしょ? ダサいあだ名考えてあげたの。1週間仲良いフリするの疲れたよ」
「これからは無視しようね」
雨の音で所々聞こえなかったが、私の悪口を言っているのは分かった。
私だって仲良いフリするの疲れたっつーの。
「なに……もう……帰ろ」
私は自宅へと向きを変え、ゆっくり歩き出した。
足が重い。
「あ! ねえあれ、つーちゃんじゃない!?」
「わ、まじ!?」
田畑さんの声は大きく、私の耳にまで届いた。
「あたし達をストーカーしてたの? きっも!」
はあ?
田畑さんがメールしてきたから来たんじゃん。
最低。