この手、あの手。


体育倉庫の扉を壊し、武志が入ってきた。


なんで……、なんでまた助けてくれるの……?

私の事嫌いじゃないと思って良いの?


「失せろ」

武志の鋭い目付きでみんな去っていった。


「大丈夫か?」

「触らないで!」

差しのべてきた武志の手を振り払った。


怖い、男子が怖い。

誰も私に触らないで。


「都村さん!」

泉谷さんが息を切らしながらやって来た。


「大丈夫!?」

泉谷さんは乱れた服を直してくれた。


「気持ち……悪い……」

「保健室行こ!」

泉谷さんに腕を引っ張られるが、下半身やお腹が痛くて立てない。


「……鶴賀君、保健の先生呼んできて」

「分かった」

武志は走って行った。



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