この手、あの手。


何事もなく放課後を迎えた。


「つーちゃん」

久しぶりにあだ名で呼ばれ、胸がドキッとした。

でもそれは武志じゃなく田畑さんだった。


「ちょっと来て」

そう言われ、私達は屋上へ向かった。


「あの日……、つーちゃんが小松さんを突き落とした日なんだけど」

……やだな、そんな日の事思い出したくない。


「あたし、元カレと電話する為に屋上いたんだよね」

「え………」

それってつまり……。


「見てたよ、小松さんとつーちゃんの会話してる所」

小さな小さな希望が見えた気がした。



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