この手、あの手。
そういえば、その日から今まで田畑さんは何も言ってなかったな。
真実を知ってたから、私に何も言ってこなかったんだ……。
「小松さんは自分から落ちてた」
「うん……」
田畑さんが目撃してくれて良かった……。
「でも何処にいたの?」
「戸の前だよ。隙間を開けて見てた」
「そうなんだ……」
あぁ、なんかホッとしたら力が抜けてきた。
「ちょ、つーちゃん大丈夫!?」
座り込む私に慌てた様子で近づいてきた。
「平気……。田畑さんが本当は良い人で良かったなって」
「……そりゃまあ最初はつーちゃんの事嫌いだったよ。でも……」
田畑さんの顔が曇る。
「小松さんが酷い人だって分かったら、つーちゃんを応援したくなって」