この手、あの手。


「腫瘍が見つかったんだ」

「嘘……」

そんな……。


「手術したら治る可能性もあるって。だから、麗南は都会の大きい病院に移るんだ」

しんみりとした空気が流れた。


「いつ?」

「今日の夕方に新幹線で行くの」

「また帰ってくる?」

「絶対帰ってくる」

「元気になる?」

「絶対なる」

みんな次々と質問した。

酷い事をしたけど、それでも小松さんはみんなにとって大切な仲間だった。


「麗南」

小松さんのお母さんが迎えにきた。


「そろそろ行くけど……良い?」

「うん」

小松さんのちょっぴり寂しそうな顔が見えた。


私達は一緒に病院を出た。



< 272 / 316 >

この作品をシェア

pagetop