この手、あの手。
「腫瘍が見つかったんだ」
「嘘……」
そんな……。
「手術したら治る可能性もあるって。だから、麗南は都会の大きい病院に移るんだ」
しんみりとした空気が流れた。
「いつ?」
「今日の夕方に新幹線で行くの」
「また帰ってくる?」
「絶対帰ってくる」
「元気になる?」
「絶対なる」
みんな次々と質問した。
酷い事をしたけど、それでも小松さんはみんなにとって大切な仲間だった。
「麗南」
小松さんのお母さんが迎えにきた。
「そろそろ行くけど……良い?」
「うん」
小松さんのちょっぴり寂しそうな顔が見えた。
私達は一緒に病院を出た。