この手、あの手。


「じゃあね」

寂しそうに手を振る小松さんを、私達は黙って見つめた。


このままじゃいけない。


「武志、良いの? 小松さんに言いたい事あるんじゃないの?」

私は隣にいる武志を見た。


ああ、ほら、やっぱり何か言いたかったんじゃん。

そんな顔で別れちゃダメだよ。


「有難う、つーちゃん」

武志はニコッと微笑んでから小松さんの方を向いた。


「麗南!」

振り向く小松さんは涙目になっていた。


「待ってるから! 帰ってくるの待ってるから!」

それに何度も頷く小松さん。


「俺、麗南の事好きだから!」

「うん、有難う!」

再び頷く小松さんは、泣きながら笑顔を見せた。


“好き”の意味は違うけど、きっとこの2人に新たな絆が出来た事だろう。

幼馴染みは、永遠だもんね。



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