この手、あの手。


翌日――。


「つーちゃん、ちょっと来て」

武志に呼び出され、私達は屋上へ行った。


「信じなくてごめん」

武志は深く頭を下げてきた。


「良いよもう。終わった事だから気にしないで」

事が治まったんだから、それで良い。


「それでさ、あの……」

少し間が空いてから再び武志は喋った。


「これからはしっかりつーちゃんを守るから、もう一度付き合ってほしい」



本当だったら「良いよ」と言いたい所だけど、そうもいかない。


「ごめんね。もう武志とは付き合えない」



私は出てきそうだった涙を必死で我慢した。

武志、好きだよ。

本当は大好き。

でも、お互いもっと強くなって、しっかりした人間になってから付き合いたい。


ごめんね。



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