この手、あの手。
「つーちゃん曲入れてー」
「う、うん」
田畑さんに言われ、無難な曲を選んだ。
アン○ンマンの曲だ。
こういうのは音痴関係なしに、思いきり歌えば良い。
でも、いざ歌うとなると少し手が震えた。
大丈夫、大丈夫だから。
拳をギュッと握り、息を吸った。
『♪そうだ、うれしいんだ~――』
「アハハハハハッ!!!!!」
歌い出すと、みんな大爆笑し始めた。
どうやら選曲の可笑しさに笑いが込み上げてきたらしい。
それでも私は声を張り上げて最後まで歌った。
おかげで音痴かどうか所ではなく、助かった。
「つーちゃん笑える! 笑いのセンス良いわ!」
田畑さんは歌い終わっても暫く笑っていた。
武志も横で、体をプルプルとさせていた。