この手、あの手。
教室に着くと、案の定みんなにからかわれた。
「実乃梨おはよー」
聖治が汗を流しながらやってきた。
「おはよ。今日もお疲れ」
「おう!」
聖治がニカッと笑ってきた。
私も微笑み返したが、直ぐに真剣な表情に戻した。
「あのね、聖治」
「ん?」
聖治は何かを悟ったように、笑顔を止めた。
「今日の昼休み屋上に来てくれるかな? 話したい事があるの」
「……分かった!」
聖治は寂しそうな顔をしながら答えた。
ごめんね聖治。
お願いだから、そんな顔しないで……。
その後私と聖治は、昼休みが来るまでずっと喋らなかった。
聖治に言う言葉を考えてた私は、授業に集中する事が出来なかった。