この手、あの手。


私が屋上に来て、5分遅れてから聖治も来た。


「お待たせ」

「ううん、大丈夫」

冬真っ只中な為に、寒い。

でもここで話すのが一番良い。

誰も来ないから。


「あのね、今年のクリスマスは一緒に出来ないの」

そう、私の家族と聖治の家族は、毎年集まってクリスマスパーティーをしている。


「それって……鶴賀と一緒に過ごすからか?」

「……うん、決めたの。私、クリスマスに告白する」

「そか……」

少し気まずい空気が流れた。


「聖治」

「ん?」

「私、聖治の事本当に本当に好きだよ。でももう、迷わない。聖治に対する好きは、友達としての好きなの」

その言葉に、聖治は俯いた。



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