この手、あの手。


「ぺちゃんこな胸なんか興味ねえよバーカ」

顔だけ男は私のおでこをデコピンしてきた。


こいつ、Sだ!

むかつく!

よりによって、なんで顔だけ男がSなの!?


「服! 早く取ってきてよ!」

「はあ? 俺が貸してやるのに命令すんなよ」


うう、むかつく……。


「服、貸して下さい……」

「うん、それで良い」

顔だけ男は私の頭を軽く2回、ポンッポンッとした。


止めてよ……。

ドキドキするんだってば。


「じゃあ麗南、つーちゃん頼む」

「つーちゃんって呼ぶな!」

顔だけ男はニヤニヤしながら私達の元から去った。


「行こっか?」

「あ……うん」

私は小松さんの後について行った。


「私、戸の前で待ってるからタオル巻いたら言ってね」

「うん……」


小松さんの笑顔、本当に可愛いなあ。

私がもし男だったら絶対惚れてた。


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