この手、あの手。


翌日――。


「武志おはよ」

「はよ」

優しく微笑む武志。

早く武志に触れたい。

でも、もう少しの我慢だ。


「武志」

「んー?」

「その、クリスマスって空いてる?」

勇気を振り絞って聞いた。


「あー無理、その日用事ある」

「えっ……」


嘘……、最悪。

そっちのパターン考えてなかった。

どうしよどうしよ……、クリスマスは武志と過ごしたかったのに……。


「なーんて」

「へ?」

武志の方を見るとニヤニヤしていた。


「冗談、空いてる」

「えっ…あっ……もう! 騙さないでよ!」

私は武志の背中をパシッと叩いた。



< 293 / 316 >

この作品をシェア

pagetop