この手、あの手。
「あのさぁ、付き合えないし絶対好きにならないから。死んでもならない。それから、告白するならもうちょっと場所考えてよ。こっちは寒いの、震えてるの。冬だって事分かってる?」
私は長々と、説教みたいに話し始めた。
「気の効かない男なんてモテないから。少なくとも、女子にあんな酷い事した人を好きになる女子なんていないだろうけど。とにかく、もう二度と私の前に現れないで」
言い終わると、私はスタスタと玄関に戻って上履きに履き替えた。
まだ少し、体が震えている。
怖かったし寒かった。
「つーちゃんお疲れ」
「武志!?」
教室にいたはずの武志が、何故か玄関に来ていた。