この手、あの手。


「俺の胸貸したげる。おいで」

武志は両手を広げた。


あぁ、武志には何でもバレちゃうんだな。

私が怖かったの分かってる。

でも駄目だ。

ここで武志の胸を借りたら強くならない。


「平気!」

私はにっこり笑った。


「……ほっとけねえんだよ」

「えっ」

武志の一言に反応した時には、既に武志に抱き締められていた。


胸が爆発しそう……。


「つーちゃんは俺の大切な人だから」

「……うん……」

“うん”しか言えない。

今はそれしか……。

本当は今すぐ好きって言いたい。

でも、今じゃ駄目なの。

最高のクリスマスにしたいの。


「つーちゃん温めてあげる」

「うん……」


武志に抱かれると、凄く温かかった。



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