この手、あの手。



雨に濡れてグッショリした服を摘まみ、下着を触ってみた。

あちゃー、下着まで濡れちゃってる……。

そりゃあの雨じゃこうなるよね。


「武ちゃん!」

「服貸して、乾かすから」

戸の向こうで2人の話し声が聞こえた。


「下着は?」

「着てもらってるけど……」

「おい、開けるぞ」

「へっ!?」

私は急いでタオルを巻いた。


「きゅ、急に開けないでよ!」

「下着脱げ」

無視かよ!

てゆうか、今なんて言った!?


「変態顔だけ男!」

「それ俺のあだ名? 酷いな」

「だって本当のことじゃん!」

すると顔だけ男はクスクスと笑い出した。


「勝手にすれば? その代わり俺はつーちゃんって呼ぶから」

「くっ……。つ、鶴賀君……」

負けた気分だ。

悔しい!


「そうそう、そう言えば良いんだよ。つーちゃん」

「なっ!!」

「下着脱がないなら俺が脱がすよ?」

顔だけ男は腰に手を回してきた。



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