この手、あの手。


「は、初めまして! 都村実乃梨と言います! 武志とは…あ、鶴賀君とはクラスが一緒で隣の席です!」


あ、あれ?

なんか変な自己紹介になっちゃった……。


武志はそれを陰で笑っていた。


覚えとけよ……。


「実乃梨ちゃん、キミは武志とどういう関係だ?」

ヒゲを生やし、今にも飛びかかってきそうな怖い顔をしている武志のお父さんに、少しびびる。


「えっと……友だ」

「俺の好きな子。大切な人」

友達ですと言おうとしたら、武志が話に混ざってきた。


しかもそれ、関係になるの……?

てゆーか、好きな子って言ったし……。


「そうか、武志をよろしくな」

「え? あ、はい?」

流れにそって「はい」と言ってしまった。


彼女とは言ってないのにはいと答えて良かったのかな……。



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