この手、あの手。


「つーちゃん俺の部屋行こ」

「えっ、う、うん」

武志の部屋……初めてだ。


「襲うなよー」

武志のお父さんが笑いながら言う。


そんな事言われたら、余計に気まずくなるっつーの!


心臓が飛び出しそうなくらい、ドキドキし過ぎていた。


「どうぞ」

「し、失礼します」

「職員室かよ」

武志がクスクスと笑う。


じゃあ何て言えば良かったんだよ!


「適当に座って」

「うん……」

私は机の近くに座り、武志は私の前に座った。


武志の部屋は物がほとんどなかった。

机に椅子にベッド、本棚があるだけ。

必要最低限の物だけって感じだ。



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