この手、あの手。
「武ちゃんが素で話してるの、都村さんが初めてだよ。他の人は下心あって近づいてたから、武ちゃんわざと冷たく接してた」
「そうなんだ……」
あれ?
じゃあ私、顔だけ男にとって何なの?
友達……じゃないよね?
「都村さんが羨ましいなあ」
「えぇ!? 何処が!?」
寧ろ小松さんが羨ましい!
可愛いし細いし!
「私の前では武ちゃん、気を使ってばっかだから。優しくはしてくれるけど、いじられたりはしないもん。でも都村さんはいじられてる」
「そんなとこが!? 私やだよ!?」
「……ほら、私、武ちゃんが好きだから。素でいてくれる方が嬉しい」
そっか、そうだよね。
好きな人には素でいてほしいよね……。
「でも、みんなにとっては小松さんの方が羨ましいと思うよ。鶴賀君の幼馴染みだもん」
「都村さんありがと。私も武ちゃんの幼馴染みっていう位置だけは凄く良かったって思ってる」
良かった、小松さん笑顔だ。
妬まれるのはごめんだ。