この手、あの手。
「なに俺の話してんの」
リビングに顔だけ男が入ってきた。
「ほら服、乾いたぞ」
私の服が投げられた。
「武ちゃん投げちゃダメでしょ」
「煩い。そういう麗南も乾かしたのかよ」
「ちゃんと乾かしたよ、ほら」
小松さんは顔だけ男に私の下着を見せた。
「ちょっ、小松さん! それ私の下着!」
「あっ!」
小松さんは慌てて下着を後ろに隠した。
でも遅かった。
「ふーん、ピンクのフリフリにヒモパンか。下着だけは色気あるんだな」
「下着だけとはなによ!」
私は乾かしてもらった服を顔だけ男に向けて投げた。
それは見事に的中し、顔だけ男の顔に服が被さった。
「てめえ……」
服で顔は見えなかったが、声で怒っているのが伝わる。
「もう服返さねえからな。その格好で帰れば? 胸思いっきり透かせた格好で」
その言葉で私は急いで体を縮めた。
そういえば、下着してなかったんだ……!