この手、あの手。
「別にただ遊んで帰っただけじゃん! それ以外何もなかったよ! 何かあったら私から言うから話しかけないで!」
「ごめん……」
それから私達は、無言で学校までの道のりを歩いた。
桜並木はもう桜並木じゃなくなって、地面がピンク色になっていた。
そういえば入学式の時の桜、どうしたっけ。
ティッシュ、たぶん捨てちゃった。
これ聞いたら聖治悲しむかな……。
言わないでおこう。
「都村さん!」
げっ……、小松さん。
今はなんとなく会いたくなかった。
1人になりたい気分。
「おはよう!」
「お、おはよう……」
小松さんは駆け足で私達に近づいてきた。
その後ろに鶴賀君がいる。
鶴賀君……、まだ慣れないな……。
違和感がある。
「……実乃梨、いつ小松さんと仲良くなった?」
あ、やばい。
聖治は土曜のこと何も知らないんだった。
だって言ったら、聖治は鶴賀君に何かするに違いないから。