この手、あの手。
「ど、土曜に偶然会ったの! ね、小松さん!」
私は笑顔で小松さんに合わせてアピールをする。
それに気がついてくれた小松さんはコクッと頷いた。
「麗南、走るなって言っただろ」
鶴賀君が小松さんの頭を軽く叩く。
その瞬間、良いなあと思った自分に引いた。
「ごめんごめん。でも私、今日は元気だから大丈夫だよ。武ちゃんは心配し過ぎ!」
「だってお前体弱いじゃん。そりゃ心配するよ」
2人は楽しそうに会話する。
聖治もどうしようと、目をキョロキョロさせていた。
「都村さん、途中まで一緒に行こ?」
「途中まで?」
「うん! 私、毎朝保健室で体調見てもらって、大丈夫だったら授業受けれるの」
小松さんってそんなに体弱いの?
知らなかった。
でも少し納得がいく。
入学式はいなかったし、授業中いないことが多かった。