この手、あの手。


「私も友達になるよ」

長い髪を揺らしながら小松さんが近づいてきた。


「都村さん、私、いじめて楽しんでる人よりも、負けずに精一杯頑張ってる人の方が好きだよ」

小松さんは喋りながら、私に手を差しのべてきた。


小松さんは優しいな。

完璧じゃん。

こんな子が友達だったら、きっと幸せな毎日なんだろうなあ。


――あ、今、小松さんや鶴賀君、聖治と笑ってる姿が浮かんだ。

この3人となら、幸せな高校生活が送れるかもしれない。

何事もなく卒業出来るかもしれない。


私は小松さんと鶴賀君を信じることにして小松さんの手を取った。

聖治は昔から信用してるから大丈夫。


「じゃあ、これからこの4人グループで行動しような」

鶴賀君の言葉でみんな目を合わせ、笑顔で頷いた。


聖治以外の人に本当の笑顔を見せたのはいつ以来だろう……。


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