この手、あの手。
「武ちゃん、都村さんをあまりいじめないであげて」
「良いじゃん別に。麗南には関係ない」
初めて、鶴賀君が小松さんに冷たい態度を取った。
ほら、小松さん落ち込んでる。
「ちょっと鶴賀君! 小松さん可哀想じゃん!」
「あっ……、悪い、麗南」
そう言って鶴賀君は、自分の弁当に入っていたクリームコロッケを小松さんに渡した。
「ほら、麗南はクリームコロッケが好きだろ」
「うん……、有難う武ちゃん」
小松さんに再び笑顔が戻った。
「武ちゃん大好き!」
「知ってる」
鶴賀君は照れながら一言喋った。
この2人には固い絆がある。
そう思うと胸が痛んだ。
なんで鶴賀君のこと好きになったの。
鶴賀君好きになったって無理だよ。
可愛い可愛い、大切な幼馴染みがいるのに……。