この手、あの手。


「武ちゃん、都村さんをあまりいじめないであげて」

「良いじゃん別に。麗南には関係ない」

初めて、鶴賀君が小松さんに冷たい態度を取った。


ほら、小松さん落ち込んでる。


「ちょっと鶴賀君! 小松さん可哀想じゃん!」

「あっ……、悪い、麗南」

そう言って鶴賀君は、自分の弁当に入っていたクリームコロッケを小松さんに渡した。


「ほら、麗南はクリームコロッケが好きだろ」

「うん……、有難う武ちゃん」

小松さんに再び笑顔が戻った。


「武ちゃん大好き!」

「知ってる」

鶴賀君は照れながら一言喋った。


この2人には固い絆がある。

そう思うと胸が痛んだ。


なんで鶴賀君のこと好きになったの。

鶴賀君好きになったって無理だよ。


可愛い可愛い、大切な幼馴染みがいるのに……。


< 57 / 316 >

この作品をシェア

pagetop