この手、あの手。


遠足当日――。


「都村さん、バス一緒に座ろうね♪」

「うん」

小松さんと遠足の話で盛り上がりながら着替えた。


「都村さんってまだ私に慣れてない?」

「え、なんで?」

「だって、私と話す時はまだ控えめな感じがするから」

「ご、ごめん」

小松さんはまだ慣れない。

少し声が小さくなってしまう。

早く仲良くなりたいのに……。

なんか、女子は怖いんだよね……。


「ねえ、あたしこの間鶴賀君に告白したんだよねー♪」

「まじで!? あんな奴何処が良いの? 性悪男だよ?」

「え、でも私も鶴賀君好き。冷たい所もまたかっこいいじゃん」

別のクラスの人が鶴賀君の話題をしていた。

相変わらず人気は絶えてないんだな……。


「都村さん行こ?」

「あ、うん」

小松さんは少し不機嫌みたいだ。

誰だって好きな人が告白された話題聞きたくないもんね。

私も聞きたくなかったから良かった……。


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