この手、あの手。


2組の教室の前まで来ると、私の心臓はかなりドキドキしていた。

緊張する……。


「大丈夫か?」

「平気……」

うそ。

本当は大丈夫なんかじゃない。

怖い。


「俺のパワーやる!」

ギュッ。

聖治は私の手を握ってきた。

聖治の優しさだ。


「ちょっとやめてよ。付き合ってるって間違われるじゃん」

私は聖治の手を払いのけた。

本当は手を握っていてほしかった。

聖治に握ってもらうと凄く安心するから。

でも、からかわれたりしたら嫌だ。


「邪魔なんだけど」

後ろから低い声が降ってきた。


「ご、ごめんなさい」

「わりぃ!」

私と聖治は戸の前に立っていたことをすっかり忘れていた。

私達は素早く横による。


え……、うわっ……。

声の主は、顔立ちがよく、ジャニーズにいそうな男子だった。

かっこいい。

聖治もかっこいい分類に入るけど、それを通り越して、彼はかっこいい。


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