この手、あの手。


「つーちゃん、鶴賀君達が心配そうに見てるよ? 笑顔見せないとバレちゃうよ良いの?」

田畑さんに脅され、私は無理に笑顔を作った。


約30分後、私達2-Bチームの試合開始時間がやってきた。

チームで円陣を組み、田畑さんが掛け声をする。


「頑張るぞー!」

「おー!!!」

私は口パクで言った。

けどそれがバレて、田畑さんに皮膚を摘ままれて痛かった。


「つーちゃんちょっと……」

田畑さんが手招きしてきた。


「何?」

「ボールは全部つーちゃんが取ってね。あたし達は動かないから」

「そんな」

「良いよね?」

鋭い目付きで睨まれた。

私は仕方なく頷いたが、ボールを取れるか不安でたまらなかった。


「Bチーム頑張れー!」

クラスのみんなから応援された。

これで失敗したらやばい……。

みんなに嫌われる……。


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