この手、あの手。
「そーれ!」
再び観客の声に合わせてボールが飛んできた。
「いった!」
今度は無事に取ることが出来た。
「田畑さん打て!」
クラスメイトの声援に応え、田畑さんは線ギリギリのところに打った。
「っしゃあああああ!!! 良いぞー田畑さん!」
私達に得点が入った。
「都村さんのおかげなのに田畑さんだけ褒めるな!」
小松さんがクラスメートに文句を言った。
そんな小松さんを落ち着かせる鶴賀君。
それを見て笑う聖治。
私もあそこにいたかった。
一緒に笑いたかった。
でも、私が発端であんなことになってるんだよね……?
なら良いかも?
私から笑みが溢れた。
「1回だけじゃダメだからね」
田畑さんの一言に私の笑みは直ぐに消えた。