この手、あの手。


「最っ低!」

田畑さんは鶴賀君にビンタし、私を睨んで去っていった。


「ってえ」

頬を押さえながら鶴賀君は呟いた。


「あいつどんだけ力あんだよ」

「だ、大丈夫?」

「大丈夫じゃない。つーちゃんのキスで痛みなくなるかも」

鶴賀君は私に左頬を向けて指で頬を指した。


「ここにキスして」

「いっ……!」

そんなこと出来るか!


「し、知らない!」

「ふーん……。まあ良いや、唇にキスしたし」


鶴賀君は私の方をチラッと見て、ニッと笑った。


言わないでよ、せっかく幻だって思いたかったのに。


「つーちゃん顔真っ赤。可愛い」

「煩い!」

体温がもっと上がる。


「つーちゃん」

「何!」

「大好き」

「……あっそ!」

そんなに見つめて言わないで。

胸が苦しくなる。


「つーちゃんは、お利口さんだね」


私は鶴賀君の左頬に軽くキスをした。


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