この手、あの手。


ビーチバレーの試合は、私達2組はAチームもBチームも1回戦で敗退した。

優勝は3組のAチームで、元バレー部が2人もいた。



昼食の時間――。


「実乃梨、頑張ったな! 俺には実乃梨が一番輝いて見えた!」

「聖治、私もうそれ聞き飽きた」

ご飯を一口食べ、「でも嬉しい」と言った。


聖治は昔から、私がどんなに失敗しても「実乃梨が一番輝いて見えた」って言う。

それを何度も聞いているうちに、飽きてきて聞くのが嫌になったこともある。

でもああ言うのは、聖治の優しさであり私を元気づけようとしてくれているから許す。

今は、また言ったって、おかしくて笑ってしまう。

今までの私は聖治のおかげで生きてきた。


「なんか妬ける」

鶴賀君の一言は誰もが聞き逃さなかった。


「武ちゃんは都村さんが好きなの?」

小松さんは少し不満げに聞いた。


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