この手、あの手。
「……つーちゃん、頑張ったらご褒美やるって言ったの覚えてる?」
「……うん……」
「ご褒美、今やるよ」
「え……んっ!」
鶴賀君は唇にキスしてきた。
しかも、少しだけだけど舌が入ってきた。
ディープキスだ。
いきなりされたもんだから、舌が入るまで私は目を開けていた。
小松さんや聖治はかなり驚きながら、私達から目を逸らした。
「麗南、俺、つーちゃんと付き合うことにしたんだ」
「そ……なんだ……」
小松さんは明らかに苦笑いしていた。
今にも泣きそうな目をしている。
小松さん、ずっと鶴賀君のこと好きだったんだよね……。
なんか悪いことした気分になる。
「俺は……実乃梨達を応援するよ。実乃梨の初恋だもん」
聖治は笑って言ったが、きっと心の中は傷ついていると思う。
私達が付き合うっていうことは、一番大切な人を悲しませることになる。