この手、あの手。
彼と目が合った。
「ジロジロ見んなよ気持ち悪い」
彼はそう言って教室に入っていった。
なにそれ……、むかつく!
初対面の相手に気持ち悪いはないじゃん!
最低最悪!
外見だけじゃん!
私は戸の窓から彼を睨んだ。
「実乃梨は可愛いよ」
「あんたに言われても嬉しくない」
聖治もチラッと睨んで、私は教室に入った。
あ……、さっきの顔だけ男、女子に囲まれてる。
うざいって思ってるんだろうなあ。
ざまあみろ!
「鶴賀君、仲良くしてよ」
玄関で甲高い声を出していた女子が、彼に話しかけていた。
鶴賀って彼のことだったんだ……。
「ね~え~」
彼女は甘い声で話しかけ続けていた。
バカみたい。
私は自分の席に座ろうと、黒板に貼ってある席順表を見た。
うわっ、最悪。
鶴賀って人の前の席だ……。