この手、あの手。
「ねね、みんなで悠木君の練習姿、今から見に行かない?」
「ダーメ、麗南は保健室に行かなきゃだろ」
小松さんのせっかくの提案が台無しになった。
「だって最近、悠木君いないから都村さん寂しそうだもん」
そっか、小松さんは私の為に提案してくれたんだ。
「私なら大丈夫だよ」
「でも、ずっと一緒だった人が離れてったら寂しいじゃない」
小松さんの目が少し潤ってきた。
「私だって……、武ちゃんが都村さんの彼氏になって寂しいもん」
「あっ……ごめん……」
私達が付き合うようになってから、鶴賀君は私にいっぱい構うようになったから寂しいよね……。
「良いの良いの! 都村さん、悠木君にタオル持ってってあげなよ。きっと喜ぶよ」
「うん!」
小松さんはなんとか良い笑顔を取り戻してくれた。
「それじゃあ後でな」
鶴賀君と小松さんに手を振り、体育館へ急いだ。