この手、あの手。


中に入るとマネージャーさんが私を手招きしてくれた。


「鶴賀君の彼女さんだよね? 都村さんだっけ? 有名だよー!」

「あはは……はい…」

鶴賀君は未だに性悪男と有名だが、一部にはその性格が好かれているらしい。

そして私は、その性悪男の彼女だと有名になってしまった。

校内の有名人の彼女になるのは大変だ……。


「悠木君の幼馴染みだよね?」

「あ、はい……何故……」

「ああ、鶴賀君と小松さん、それに都村さんと悠木君は校内で噂になってるから!」


噂って怖いな……。

背中がゾッとした。


「あんなかっこいい幼馴染みがいて羨ましいなあ」

「聖治のことですか?」

「当たり前じゃん!」

いや、まあ聖治はかっこいいとは思うけど……。

羨ましいなんて人に言われたことない。


「私ねー、悠木君狙ってるんだー♪」

その瞬間、私の心臓がドクンとした。


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