この手、あの手。


私は重い足取りで自分の席へ向かう。

私の席は、廊下側から4列目の前から2番目だ。

教卓に近いこともあり、気が沈む。



うん……、座れないや。

顔だけ男の周りに女子が群がってるから。

あ~あ、こういうの嫌なんだよね。

声をかけづらい。

でも座りたいし……。


「あ、あの、座りたいんですけど……」

「あ?」

茶色い髪をクルクルに巻いて、つけまつ毛をしている女子に睨まれた。


「ブツブツ喋んなよ気持ち悪い」

また気持ち悪いって言われた。

へこむ。

でも仕方がない。

私は仲の良い人にしか、大きい声で話すことが出来ない。

他の人と話す時は声が小さくなる。

だから、ブツブツ喋んなよって言われた。


こういうの、人見知りって言うんだろうか?

よく分からない。


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