この手、あの手。


決めた。

私はやる。


月曜日――。


「鶴賀君、話があるんだけど」

「……別れたくない」

「別れ話じゃないよバカ」

机にうつ伏せになっていた鶴賀君は体を起こした。


「あの……私、男バスのマネージャーやろうと思う」

「………なんで? 悠木がいるから?」

鶴賀君はちょっと不機嫌になった。


「そう……だよ。聖治と一緒にいる時間が少なくなって寂しいの。聖治が私を励ましてくれたように、私も聖治を救えるような人になりたい」

「ふーん……、良いんじゃね?」

なんだか冷たい。

やっぱりこんな話嫌だったよね……。


でも、鶴賀君には言っておきたかった。


「良いんだけどさ、俺、ヤキモチ焼くよ?」

「うん……?」

「つーちゃんは俺のもんだから」

鶴賀君は私の手を取り、指を舐めてきた。

舌が指に触れるたびに感じて、口から離れようとする私の手を、鶴賀君はがっしり掴んでいた。


< 98 / 316 >

この作品をシェア

pagetop