あなたは、だぁれ?
「お前だって死体からアンティークドールを作るじゃないか」

マカの何気ない言葉に、リリスは眼をつり上げた。

「わたしのはあくまで魔女の死体です。ミコトはそこら辺の死体から作っているんです。同じにしないでください!」

「…お前の怒りのポイントがよう分からん」

リリスと話をしながら、マカは頭を抱えた。

やがて見覚えのある店の前に到着した。

「ん? 今度のディスプレイは刺繍物か」

細かくも美しい刺繍がされているストールが飾られていた。

生成り色の生地に、少し和柄な感じの赤い花が糸で縫われている。

「アラ、キレイですね」

リリスも覗き込むが、マカの表情は複雑そうな色を浮かべる。

「…良い腕をしているのは確かなんだが…何だって闇の世界に入ったんだか」

「それはやっぱり、死体の入手方法がこっちの世界でしかないからなのでは?」
< 16 / 81 >

この作品をシェア

pagetop