あなたは、だぁれ?
「ここでは何ですから、奥へどうぞ。長い移動でお疲れでしょう?」

「そうだな」

そしてマカとリリスは、店の奥の広い和室に通された。

座布団に座ってすぐ、先程の女の子がお盆を持ってやって来た。

「お茶と芋ようかんです。どうぞ」

丁寧な手付きで置かれるものの、やはり愛想はない。

「愛想が無くて済みません。彼女はウチの店のバイトで、マナと言います」

「どうも、はじめまして」

マナはミツルの後ろに控えるように座った。

しかしマカはマナの名前を聞いて、眼を見開く。

「マナ…? それは本当の名前なのか?」

「はい」

「…むぅ」

「どうかしました? マカ先輩?」

難しい顔をするマカを見て、リリスが首を傾げる。

「…お前やカガミのような異国のモノは知らないだろうが、マナという言葉は日本では特別な意味を持つ」
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