あなたは、だぁれ?
ミツルは遠い目で失笑する。

確かにマカの周りには人成らざるモノがウロウロしている上、護衛役のモノもいる。

そんじょそこらのモノが、簡単には近づけないのだ。

「なら道具の心当たりは?」

「そちらも残念ながら。…ですが昔、気になる話を聞いたことがあります」

「どんな?」

「大分昔の話なのですが…」

それはとある特殊体質の能力者の話。

そのモノは自らの血が発する匂いで、他者を操ることができた。

人間だけではなく、動物や植物なども自在に操ったらしい。

「血…。匂い…? …人や動物や植物を操る?」

呟いていくうちに、どんどんマカの表情が険しくなる。

「何だかマカ先輩の血族にありそうですわねぇ」

のんびりと芋ようかんを味わっているリリスが、考えながら言った言葉に、マカは動きを止めた。
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