あなたは、だぁれ?
「流石だね。大当り」

サクヤは嬉しそうに笑い、両手を広げて見せた。

「フェロモン、って言った方が分かりやすいかな? 俺の身に流れている血の成分は、それに当てられたモノを自在に操ることができる。とは言え、いくつかの条件はあるけどね」

「発動の条件、か…。その中に、長持ちしないという説は?」

「離れてしまえば、その説は当たっていることになるね」

つまり近くに居続けるほど、力は持続するという意味だろう。

「じゃあ本題だ。私の婚約者候補ならば、本家で顔を見合わせれば良いだけの話し。何故こんな面倒なことをした?」

マカは真面目な顔になり、真っ直ぐにサクヤを見つめる。

「まあ自己紹介みたいなものかな? それにちょっとでも俺に興味を持ってくれたら、嬉しいなと思っていたし」

「不信感しか抱かなかったわっ!」
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